米国会計基準(べいこくかいけいきじゅん)とは、アメリカ合衆国の財務会計に使用される規則集であり、米国版の「Generally Accepted Accounting Principles」(一般に認められた会計原則)である。略してUS-GAAPや単にGAAP(ギァープ)と呼ばれることが多い[1]。米国の証券市場に上場するには必ず米国会計基準に準拠した財務諸表を作成・公表しなければならず、これに関わる米国公認会計士(US-CPA)や企業経営者、会計責任者はこの法令違反によって刑事や民事の責任を問われることがある。
基本的目標
財務諸表は以下の情報を提供する。
• 潜在的な投資家と債権者、他の利用者へ合理的な投資(Investment)や貸付、その他の金融上の意思決定の利用に供する
• 潜在的な投資家と債権者、他の利用者へ資金収支(Cashflow)の合計額や時期、不確定要因に関して判断の助けになるもの
• (企業の)資産、負債、資本、およびそれらの増減に関するもの
基本概念
基本的目標と基礎的な品質を達成するために、GAAPは4つの基本的前提、4つの基本的原則、4つの基本的制約を持つ。
基本的前提
(Assumptions)
• 企業に関する会計であること。個人の会計や他の企業の会計とは分離される。
• 継続性があること。事業が無期限に継続されることを前提にすることで、資産の計上、減価償却、償却に関するさまざまな手法が有効となる。企業整理の場合にのみこの前提は除外される。
• 金銭主義であり、貨幣価値で計量出来るもののみを扱う。FASBではインフレであっても修正することなく、記録される金銭単位としてUSドルの額面価値を採用する。
• 時間-期間の原則により、必然的に企業の経済活動は社会的な時間で区切られる
基本的原則
(Principles)
• コスト原則により、資産と負債については公正市場価格ではなく取得コストに基づいて計算し報告することが、企業に求められる。この原理は(主観的で偏った市場価格をもたらす機会を排除することで)信頼できる情報を与えるが、今日ではそれほど意味を持たなくなっている。結局、公正価格を使うのが一般的であり、なにより負債や有価証券などは現在では市場価格で報告される。
• 収益原則に基づき、企業は収益の記録に関して以下のルールに従う。
1. 実現や実現可能になった時点を使う。
2. 現金受領時点ではなく販売やサービスを完了したことで支払いを受ける権利が発生した時点(稼得時点)を使う。
このような会計方法は発生主義会計と呼ばれる。
• 費用収益対応の原則によって、費用は可能な限り収益と対応させて扱われる。費用は、作業が完了したり製品が完成した時点ではなく、作業や製品が実際の収益に結びついた時に初めて認識される。収益に結びつかなかったコストに限り、当期の費用として計上することが(例えば、事務給与やその他の管理的な費用など)許される場合がある。この原則は(収益を得るのに幾ら掛かったのかを示すことで)実際の収益性と効率をより正しく評価することを目的としている。減価償却と売上原価はこの原理の適用を示す良い例である。
• 開示原理によって、開示される数値や情報の種類は、情報に掛かるコストよりも用意して利用する利便の方が上回るように正しく損得勘定を行なわれる必要がある。情報は合理的なコストの範囲内で判断され、十分に広く開示される。情報は財務報告書やその注記、添付資料においての本体として提供される。
基本的制約
(Constraints)
• 客観性の原則 (Objectivity principle) :会計士が作る企業の財務報告書は客観的な証拠に基づいて構成される。
• 重要性の原則 (Materiality principle) :報告書に記載される時には、1つ1つの項目の重大性が考慮される。各々個別の理由に基づいて判断されて、1つの項目の重大性が考慮される。
• 継続性の原則 (Consistency principle) :会計方針が合理的な理由も無く毎会計年度ごとに頻繁に変更されることは許されず、各期を通じた事業成績の変化が財務報告書の一覧によって容易に取得出来るように努められる。
• 慎重の原則 (Prudent principle) または保守主義の原則 (Consistency principle) :2つの選択肢がある場合は、資産と収入が過大評価されない方や負債と損失が過小評価されない方を常に選ぶ。具体的には、負債と損失はある程度の確実性があれば当期に記載されるべきものとなり、資産と収入は確実とならない限りは当期に記載してはいけない。
その他の原則
• 目的適合性(Relevance):財務報告書の利用者が得る情報によって意思決定に影響を及ぼし決定に違いが出るほどならば、それは目的適合性があるといえる。それには将来予測、過去の決定に対する正誤判断の確認が含まれ、また、利用者が必要とする適時に情報が提供される必要がある。
• 信頼性(Reliability):誤りや偏見がなく、検証が可能であり、内容と表現が一貫している。
• 比較可能性(Comparability):複数企業間の財務報告書を並べることで簡単に業績の優劣や類似点、相違点が比較出来る。
• 即時認識(Immediate recognition):発生した費用は直ちに認識され、その期の内に記録される。
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